シニア世代で増える「脱力起業」が増加中。「そこそこ儲けて、食べていければいい」

（更新日：2014-05-04 19:00） 

ここ最近、起業を考えているシニアが増加しています。

「団塊の世代」を中心に、ちょっとしたブームになっているようです。

起業したら、「どんどん収益を増加させて企業を成長させ、さらには株式を上場する。」

経営者の多くがそんな将来像を描くと思うのですが、

シニアの起業家はそうではありません。

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気長に仕事を続けて、

「そこそこ儲けて、食べていければいい」といった、肩に力がはいらない「起業」を目指しています。

経済産業省が2014年4月25日に発表した「中小企業白書2014年版」によりますと、

新規に会社を立ち上げようとする「起業希望者」の数は、

2012年に84万人。

バブル期の1987年の178万人から約半分に減っています。

また、実際に起業した人を年齢別にみてみますと、

60歳以上の人が32.4％を占め、30歳代の23.9％を上回っています。

20歳代は11.9％、40歳代は17.4％、50歳代は14.3％でした。

「起業」というと、ハイリスク・ハイリターンのイメージがありますよね。

長引く景気低迷や、ここ2、3年の就職氷河期を経験してきた若者にしてみれば、

安定した生活を求める気持ちが強まり、

リスクを冒してまで起業しようという気持ちは芽生えにくいのかもしれません。

それでも、起業環境はかなり改善しています。

政府の後押しもありますが、

金銭面では補助金や融資制度が整ってきたし、

環境面でもレンタルオフィスの増加などの支援も進んできています。

つまり初期投資が少ないということです。

起業家を養成するスクールや講座も活発ですが、

そんな講座を活用している人もシニア層が中心のようです。

たとえば、東京都中小企業振興公社が主催する「TOKYO起業塾」では年1回、

シニアコースを開催していますが、応募者はこの3、4年で倍増し、

定員を増やすほどの人気といいます。

中小企業白書によれば、

若者の起業は「生活関連サービス業・娯楽業」などやITベンチャーに代表される「情報通信業」の割合が高い傾向です。

また、女性は子育てや介護といった「生活関連サービス業」や、

職歴や趣味、特技を生かした「教育・学習支援」などの分野で起業をする方が多いです。

一方、60歳代の「シニア起業家」は、それまでの職歴、経験を生かした経営コンサルタントや、 営業代行などの「サービス業」の割合が高くなっています。

サラリーマン時代に培った人脈や経験を最大限に活用することや、

退職金などのまとまった資金が手元にあり、開業資金の手当てにしやすいことが、起業するきっかけになっています。

さらには将来的に年金支給額が減額されたり、支給年齢が引き上げられたりすることが見込まれるなどの不安も背景にあるようです。

そんなシニア起業家の特徴は、

「脱力」起業スタイルというものです。

「65歳定年」を迎えた団塊の世代が

「定年に関係なく長く働きたい」「元気なうちは世の中に貢献したい」

と望んでおり、

そのため、多くのシニア起業家が利益や事業規模の拡大を目的とせず、

「儲けは少なくても、無理せずに息の長い仕事をしたい」

と考えているようです。

もちろん、事業が軌道に乗って売り上げが伸びれば、サラリーマン時代の収入を上回ることも可能ですし、

将来の株式上場も夢ではないですが、株式公開などは「目的でない」といいます。

それもあってか、ビジネスの「タネ」も、意外なものが少なくありません。

趣味の写真が高じてイベントなどのカメラマンに転身したり、

洋服のデザイナーや古着屋を経営したり、

金やプラチナではない変わった素材やデザインのアクセサリーづくりや、

犬のしつけや散歩といったペットシッターなど、さまざまです。


潰しが利かない年代の人はがそう考えることはごくごく自然なことですね。

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