大沢在昌さん「吉川英治文学賞」を受賞 作家歴35年
(更新日:2014-04-28 09:00)
「生まれ変わっても小説家をやりたい」と話す大沢在昌さん。
「エンターテインメント小説を書く者にとっては最大最高の賞。
うれしさの一方、この先いただける文学賞がなくなってしまうのでは、という一抹の寂しさがある」。第48回吉川英治文学賞を「海と月の迷路」(毎日新聞社)で受け、
作家歴35年となるベテランらしい感想を述べました。
受賞作の舞台は、炭鉱の島として栄えた昭和30年代の長崎県「軍艦島」。
閉鎖的な島を支配するしきたりにあらがい、ある少女の不審死の真相に迫る20代の警官を活写する。
同時代を描いてきた作家にとって設定こそ異色ですが、
物語に込める思いは一貫しています。
「つらい状況に置かれたときに、自分に嘘をついて生き方を曲げるような人間は描かない。それだけはずっと主人公たちに課してきた」と話す大沢さん。
大沢さんは吉川賞との縁は深い。
慶応大法学部を中退し23歳でデビューしましが、
その後は鳴かず飛ばず。
「永久初版作家」のレッテルを貼られました。
そんな生活を「百八十度変えた」のが
平成3年の吉川英治文学新人賞受賞作で、後に人気シリーズとなる「新宿鮫」でした。
今月行われた贈呈式のスピーチでも二十数年前の新人賞当時に思いをはせました。
選考会当日に家族で出かけた江の島ドライブ。
夕飯の支度中にキャベツまみれの手でとった受話器越しに聞いた吉報…。
「書いて遊んで書いて遊んで、遊んで遊んで書いて。それからは夢のような時間だった」と振り返ります。
小説に加えて、最近は作家志望者向けの創作指南書も話題になっています。
「(この先)出版や文芸の世界は今以上に厳しくなっているでしょう。しかし私は生まれ変わっても小説家をやりたい」。と、登場人物と同様に背中で範を示しています。
ほんとうにおめでとうございました。
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